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令和6年度 第1回 安全教育部会研修会報告

日時:令和6年6月18日(火)14:00〜16:00
場所:千葉県総合救急災害医療センター
内容:千葉県総合救急災害医療センターの取組 視察研修
   千葉県教育研究会安全教育部会 千葉市教育研究会安全教育部会 共催

<活動の実際>
千葉市美浜区に位置する千葉県総合救急災害医療センターにて、視察研修及び、千葉県総合救急災害医療センターの取組についての講話をいただき、安全の考え方について研修を深めた。

千葉県総合救急医療センター会議室にて

1 センターについて

令和5年11月1日に基幹災害拠点病院として開院した。大きな災害が発生しても病院機能を継続するために考え出された最新の設備が整っていた。

(1)基幹災害拠点病院

医療救護活動の拠点となる、被災現場において応急救護を行う病院であり、災害時に重症患者の適切な医療を確保することを目的としている。センターは、身体科と精神科が一体的となっており、それぞれの担当職員が千葉県民の健康と安全と、生命を守るために従事している。

(2)センターの身体科

急性心筋梗塞、脳卒中、急性大動脈などの重症急性疾患に加え、多発外傷、重症熱傷、急性中毒、四肢切断などの特殊患者を対象に活動している。屋上にヘリポートを設置しているなど、遠方からの受け入れにも対応可能な設備を有している。

(3)センター精神科

精神科救急医療専門病院として設立された精神科医療センターが前進となっている。夜間・休日には県内の輪番病院との受診調整を行うとともに、受け入れも行っている。早期に治療を行い、急性期を脱した患者の社会復帰を促す。アウトリーチ(訪問看護)やデイケアといった社会復帰への支援も行っている。

2 災害への取組

耐震性能、病院本館は、大地震に遭遇した場合でも構造体を修復することなく建築物を使用できるように基礎免震を採用している。耐風性能が一般的に設定する風圧力の1.3倍の風圧力に対して、建築物の安全性を確保している。沿岸に位置するため、耐塩害にも対応している。

3 災害への備え

2回線の予備電源高圧方式とし、1回線が停電しても、自動で切り替えて受電が可能である。非常用発電機も設置しているため、もし、上記2回線が使えなくなっても、72時間は、連続運転可能な燃料を備えている。また、患者の一時受入も可能となっており、入院患者及び災害対策に従事している者以外に、150人程度受け入れることができる。

供給電源を選べるコンセント

4 避難訓練等における近隣の施設等の連携

近隣に大きな施設があり、それぞれと連携をして、大きな災害に備える訓練等を行っている。また、隔月で千葉県災害医療担当者研修会を開催し、県内の医療機関や商業施設等と災害時における取組などについて共通認識を高めている。

<訓練の一例>
・火災に対応する訓練(一部の患者も参加する)
・安否確認の訓練
・化学テロ時における受け入れの訓練

一部の訓練においては、細かいシナリオを用意せず、各フロアにて災害本部からの指示を受け、それぞれのフロアに備えられている「アクションカード」と呼ばれるカードに記載された内容を実施する。また、内線は各職員が持っているタブレット端末を活用しているため、災害が起きても迅速に対応することができる。

5 被災現場での救護体制

災害拠点精神科病院として、被災現場で救護にあたる場合は、以下のようなチームとなって活動する。

(1)災害派遣医療チーム DMAT

 4名で1チーム
 ドクター1名、看護師2名、調整員1名の現有チームとして3チーム保有
 <活動の実績>
 東日本大震災、熊本自身、令和元年台風15号 ダイヤモンドプリンセスで活動
 発災直後、瓦礫のなかといった災害現場で救護活動

(2)災害派遣精神医療チーム DPAT

 3名で1チーム
 ドクター1名、看護師1名、調整員1名
 <活動の実績>
 (1)に加え、台風19号における被災地、勝浦ホテル三日月など

6 施設内見学

当日は、あいにくの雨だったため、屋外にあるヘリポートなどの見学ができなかったが、一部の施設においては、外観を見ることができた。また、災害派遣チームで活用する救急車両なども見学することができた。

敷地内の防災棟
防災倉庫
職員用駐車場…臨時のヘリポートにもなる

7 研修会を振り返り

まず、本部会の活動に協力してくださったこと、また、大雨の中でも快く研修会を受け入れてくださったこと、各施設内をできる限り多く紹介しようと様々なフロアに働きかけてくださったことなど、担当職員の方々における多くのご配慮に感謝している。
千葉市役所の新庁舎と同じように、東日本大震災など大きな災害が起きても、迅速に対応できるように最先端の設備を整えている。また、シナリオを作らず、アクションカードにしたがって行動できるかどうかという訓練においても、教訓を生かしたものであると考える。この素晴らしい取組については、学校の各種訓練においても活用できるものである。今後の訓練の見直しに役立つことが期待されるため、千葉県教育研究会安全教育部会からも推進していきたい。